無自覚なまま、愛を蓄えて。

優星が何を考えているのか、よく分からない。


“幼なじみ”という関係から……抜け出せない。



「まぁ、そう焦らずゆっくりいけよ。んで、振られたら俺のとこ来いよ。全力で慰めてやる」



そう言ってケラケラと笑う。


理人は面白がって言ってるのか、本気で言っているのかたまに分からなくなる。


……ほんと、こいつはよくわかんねぇわ。



「振られる前提で話すな、ばーか」


「ははっ。お前ならそういうと思った。じゃ、先に屋上で待ってるわ」


「おう」



理人はひとしきり笑った後、そそくさとこの場を離れていく。


理人と学校までの道のりを歩いたのは久しぶりでなんだか変な気持ちになった。


いつでも俺のそばにいてくれる理人は唯一の親友で、最高の仲間。面白がるところはあるが相談に乗ってくれたことは感謝だな。



「……ぜってぇ本人には言わねぇけど」



1人呟いて、ふっと笑う。
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