無自覚なまま、愛を蓄えて。
こんなこと本人に言ったら調子に乗るだけだ。感謝は心の中で留めておこう。
「……今日はあのカフェに寄るか」
空を見上げながら、俺は学校へと向かった。
***
放課後。
授業を受けず、ダラダラと屋上で過ごしていたらチャイムが聞こえた。
……そろそろ優星を迎えに行こうか。
そう思って、ゆっくりと立ち上がる。
「あれ?梓くん、どこ行くの?」
「……ああ、優星の迎えだ」
その事に1番に気づいたのはちづ。
ちづはスマホから顔を上げて俺に聞いてくる。人のことを見ていないようで、よく見ているちづには嘘はつけない。
後々面倒なことになることは分かりきってるから、正直に言った。
「えー?優星ちゃん狙う人、いないのに?珍しい〜」
「別にいーだろ。バ先まで送ってくる。ついでになんか食ってくるわ」
あの騒動以来、優星はみんなとは会っていない。俺も部屋を出ていかれたので、まだまともに顔を合わせていない。