無自覚なまま、愛を蓄えて。
キョロキョロと辺りを見渡し、優星を見つけたのか分かりやすく表情を変えた。
「友達と話してるね?この前みたいに突撃しちゃう?」
「……いや、それはやめとく。もう急ぐ必要無くなったしな」
友達と楽しそうに話してるのに俺が間に入るのは申し訳ない。ようやく優星にとって、穏やかな日常が訪れたのだ。
それを邪魔はしたくない。
「ふーん。梓くんも大人になったねぇ」
「……どこから目線だよ、その言葉」
謎の言い草に思わずツッコミを入れる。
「ま、出てくるまで待ってよーぜ」
「そうだね」
ちづも待つことに納得したのか今日は珍しく大人しく引き下がる。
いつもだったらなりふり構わず突撃するのに。
ちづも変わったな。