無自覚なまま、愛を蓄えて。
俺たちは顔を見合わせ、そっとため息を着いた。
「よぉ、優星」
「あ、梓くん!なんでここに!?」
意を決した俺は優星の教室に入り声をかける。すると驚いたように目をまん丸に見開く。
……さっき俺の事気づいたはずなのに、コロコロ表情変わって可愛いな。
「あー、優星を迎えに来た。今日バイトだろ?送っていこうかと思って」
優星に会いに来た、なんて自信満々に言えないからしどろもどろにそう答える。
こんなんいつもの俺じゃねーだろ。
「えー、いいのに。それに、バイトは今日はないよ?」
「そうなのか?」
「うん。お父さんと話してバイトは土日にシフト移動してもらったの。お父さんはやめていいって言ってくれたけど私はあのカフェ好きだから。土日だけで続けようってなったの」
ニコニコと話す優星はとても幸せそう。
そんなことまで親父さんと話が出来たのか。