無自覚なまま、愛を蓄えて。

正直、優星と親父さんの関係はそう簡単に直らないと思っていたが予想外の速さで心を入れ替えてるみたいだ。


優星のバイトのことまで考えるなんて。



「そっか。なら家まで送る。……つーわけでちづは屋上へ戻れ。お前には用はない」


「えー!そんなー!」



優星の話を聞いて、俺はちづの存在を思い出した。


戻れ、と言い放つと残念そうにガックリと肩を落とす。



「あ、ちづくんもいたの?」


「え?俺のこと、気づいてなかったの!?」



俺のやり取りを見て、優星はびっくりしたようにちづを見る。


……つーか、“ちづくん”ってなんだよ。



「ごめんなさい」


「じゃー、そういう事だから。優星、行くぞ」


「う、うん!真桜またね!」


「また明日ー!」



ガッカリしているちづを置いて優星の手を握る。その事に優星は気づいたみたいだが振りほどいたりはしなかった。


友達に手を振り、笑顔を見せる優星は超絶可愛い。
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