無自覚なまま、愛を蓄えて。
今すぐ抱きしめてぇ……。
「あ、あの……」
「ん?なんだ?」
教室を出てしばらくした頃、人気のない廊下でふと立ち止まる。
優星は恥ずかしそうに下を向いていた。
「さ、さっきから……視線を感じます……」
「……それは優星が可愛いのがいけない。俺はずっと優星のこと、可愛いって思ってるぞ」
消え入りそうなか細い声でそう言ってきた。俺の視線、そんなに感じたか?と疑問に思ったが自分の気持ちを素直に伝えた。
「あ、あの……梓くん、もだけど周りの視線が……。それに、私は可愛くないです!」
「………はぁ?」
緊張しているのか顔を突然あげる。
顔を真っ赤に染めた優星は、自分のことは可愛くないと言い出した。
その事に不満を持った俺は思わず声を出してしまう。
自分のした、恥ずかしい勘違いにも気づかないで。
「優星、前にも言ったが、そろそろ自分が可愛いと自覚しろ。……じゃないと俺が持たない」