無自覚なまま、愛を蓄えて。
彼女になりたい
「……ありがとうございました……」
お会計を終えたお客さんがカフェを出ていく。それを見送るが頭の中では全く別のことを考えていた。
いつもならもっと大きな声が出るのに、今日はいつもの調子が出ない。
何も……手につかない。
「……はぁ」
「あら、優星ちゃん。どうしたの?なんか元気ないじゃない」
「マスター……」
レジの前でため息を着いているとマスターに話しかけられた。
今日は土曜日。絶賛バイト中で、レジにたっていたところだ。
マスターは不思議そうに首をかしげ私の隣に立つ。
「何かお悩み?もし良かったら話聞くよ?」
エプロンを脱ぎながらそう言ってくれた。
マスターは相談に乗るのが上手くて、四六時中お客さんやほかのバイトの人の相談に乗っている。
「いや、大丈夫です。仕事中にすみません。戻りますね」
だけど私は、人に相談することに躊躇いがあった。