無自覚なまま、愛を蓄えて。
そしてなんだか周りの騒ぎもだんだん静かになっていき……。
「……優星?」
「ひっ!」
彼の声が廊下によく響いた。
私の名前が呼ばれ、反射的に背筋が伸びる。だけど周りの視線が痛すぎて恥ずかしいやらなんやらで……。
……というか、なんで“梓くん”がここにいるのよ!私がぶつかった相手は、まさかの梓くんだった。
「えー?この子が梓のお気に入りの子?」
「写真で見たまんまだね。ちっこい」
冷や汗ダラダラで、その場で固まっていると梓くんの横を歩いていたらイケメンキラキラな2人に囲まれた。
な、なんだろう……この地獄みたいな空気感は……。
「おい、お前ら。優星が怖がってるだろ。行くぞ」
「へーい。ほら、お前も」
「わかったから、引っ張るな!」
ビクビクしながらその場で固まっていると梓くんが低い声で2人に声をかけた。そしてそのまま2人を引っ張って行き、廊下の奥に姿を消した。