無自覚なまま、愛を蓄えて。

お客さんが来ないのでしばらくマスターと話していたらドアの鐘が鳴った。


ハッとしてドアの方に目を向ける。



「いらっしゃいませ……って、梓くん!?」


「……よぉ」



お客さんをお出迎えしようとカウンターから立ち上がる。


ドアの方に近寄ると、そこには梓くんが気まずそうに立っていた。


私はびっくりして思わず叫ぶ。



「梓くんだけじゃないよん。久しぶり、優星ちゃん」


「ちづくん!?みんなも!」



梓くんの後ろからひょっこり顔を出したのはちづくんだった。


後ろの方に隠れていたのでよく見えなかったけどさらに後ろにはROSEのメンバーが揃っていた。



「わりー。俺だけ来ようと思ったんだが、どうしてもって、ついてきやがった」


「梓くん、そんな言い方ないでしょう!」



はぁ、とため息をつきながら梓くんは説明した。どうやらROSEの集まりの後梓くんだけカフェに来ようとしたのだけれどみんなにつかまったらしい。
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