無自覚なまま、愛を蓄えて。
「でも彼、大丈夫なの?色々危険って噂じゃない」
マスターはコーヒーを入れながらボソリと話す。
……そういえば。
マスターは梓くんの噂のこと、知ってるんだっけ。暴走族の総長をしてるって知ってるのかな。
「……大丈夫です。梓くんは、私のことしっかり守ってくれたので」
「そうなの?」
そうなんです。
と自信満々に頷いた。梓くんはどんな時でも駆けつけてくれて。
しっかりと私のことを守ってくれた人。
だから、大丈夫。
彼のことなら信じられる。
「そう。じゃあ、次の1歩を踏み出さないとだね」
「……はい」