無自覚なまま、愛を蓄えて。
「告白、するんでしょ?あの子に」
「……はい」
返事を迷っているとマスターはにっこり笑って私を見た。
やっぱりわかっていたみたい。
そりゃそうだ。あんな相談した後に梓くんを誘ってるんだもん。マスターは勘が鋭いからすぐわかるよね。
「心の準備も必要でしょう?仕事は大丈夫だから休憩室でゆっくりしてな。私は優星ちゃんを応援してるから」
「……マスター……」
マスターは私の方へ歩み寄るとぎゅっと優しく抱きしめる。
「大丈夫。優星ちゃんなら、大丈夫」
その優しい声は心に深く刺さった。
その大丈夫、という言葉は魔法の言葉みたい。私が、いま1番欲しかった言葉。
「ありがとう、ございます。マスター」
「うん。さぁ、行っといで」
私はマスターの言葉を聴きながら、更衣室へ向かい、何度も何度も深呼吸を繰り返した。