無自覚なまま、愛を蓄えて。
「い、嫌じゃないけど……」
繋がれた手を見つめながら言葉を濁す。嫌ではない。むしろ嬉しいくらいだ。
だけど……緊張しすぎて死にそうなんです!
「なら、大丈夫だな。さ、行こう」
ガチガチに固まってる私を引っ張るようにして歩き出す。
私はされるがままに梓くんのあとをついて行く。
「ね、ねぇ……そういえば」
「なんだ?」
歩き始めて数分後。
お互い何も話すことなく歩いていた。この沈黙に耐えきれなくなった私は口を開く。
緊張しすぎて思考回路がおかしくなりそうだったけどなんとか自分の意識を保った。
「ちづくんや理人くんたちは?」
何を話したらいいか分からないまま口を開いてしまった。そのため、何故かちづくんたちのことを話してしまった。
「ああ、アイツらには先に戻ってもらった」
「そ、そう……」
緊張してる私とは裏腹に梓くんはあっさりとそう答える。