無自覚なまま、愛を蓄えて。

「いいよ。優星の話、ちゃんと聞くから」



そう言って私と向き合った。


まっすぐで綺麗な瞳と視線が絡まり合う。ドキンドキンと心臓が騒がしいけど。


私は、そっと口を開いた。



「私……梓くんにはとても感謝しているの。お父さんのことも、早乙女くんのことも解決してくれて、今の私がいる」



梓くんは私のことを1番に考えてくれて、行動してくれて。


流れに身を任せることしか出来なかった私とは大違いで。


生きていることが嫌になっていた私を救ってくれた。生き地獄のような生活から、救ってくれた。



「…………」


「ありがとう、梓くん。それをまず最初に伝えさせてください」



……あ、れ……。


なんだか声が震えてくる。
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