無自覚なまま、愛を蓄えて。

「私……私!梓くんのことがずっとずっと好きだったの!小さい頃からずっと梓くんに片想いしてました。離れていた時も梓くんのことが忘れられなくて。気持ちが、消えなくて……」



い、言った!


梓くんに、“好き”って言っちゃった!


緊張のあまり少し大きな声が出てしまった。でも、後悔はない。


ちゃんと、自分の気持ちを伝えられた。



「……それ、本当?」



自分の気持ちを伝えて数秘。


黙っていた梓くんが突然顔を上げて私に近づく。



「ほ、本当……です。あ、あの……んっ……!」



顔を真っ赤に染めて、熱くさせて梓くんを見ていたら、突然唇に柔らかいものが当たった。


息をするのも忘れて、目をつむる。


私……梓くんに、キスされてる?



「やっと、やっと優星の気持ちが聞けた。俺は嬉しい」


「はぁ、梓……くん?」



キスをしたのは一瞬だったはずなのになんだか長く感じて。
< 228 / 242 >

この作品をシェア

pagetop