無自覚なまま、愛を蓄えて。

自分のことを話すのが苦手な私はどう言ったらいいかと考えあぐねていた。


梓くんは、彼氏としては申し分ないほど尽くしてくれていた。昨日も遅くまでメッセージ交換したり電話したりしたし。


私のことをすごく大事にしてくれる。


ただ、あの日……告白した日のことを思い出すと未だに顔を熱くさせる。


そして……ちらっと自分の首元を盗み見た。制服のブラウスでギリギリ隠れて見えないけど、ここにキスマークが隠されていた。



「優星?どうしたん?おーい」


「あ、ごめん。なんだっけ?」



ぼーっとしていたら真桜が不思議そうに首を傾げる。


私は慌てて顔を上げ、真桜を見た。



「……ラブラブそうなら良かった。そこ、ついてるんでしょ?キスマーク」


「な、何故それを!?」



目が合うと真桜はにやりと笑って自分の首元をつんつん、とつつく。


まさかバレてるとは思っていなくて。


わかりやすいほどに慌ててしまった。
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