無自覚なまま、愛を蓄えて。
「ほら、そんなことよりお迎え来たみたいよ?」
「え?あ……ほんとだ」
真桜は楽しそうに笑ったあと廊下の方を指さした。
いつの間にか廊下にはは人だかりができていて、女子の悲鳴が聞こえる。ドアの先に視線を送るとそこには梓くんがいた。
梓くんは私と目が合うとにっこり笑って手を振る。
「あらー。優星の彼氏、あんなに甘々なのね。学校の噂とは大違い!」
「あ、あはは……。ごめん、続きはまた今度話すね!」
「はいよ~。彼氏と幸せにね♡」
真桜の言葉に思わず苦笑いしてしまった。
こういう時、どういう反応をしていいか分からないからちょっと困る。
梓くんは立っているだけでオーラがある。その場にいるだけでみんなの視線を集めてしまう。
それは梓くんだけじゃない。
ROSEのみんなも、そうだった。
「お、おまたせ!」
「お疲れ様、優星」
帰る準備を急いで終えてから梓くんの元へと駆け寄る。