無自覚なまま、愛を蓄えて。
その瞬間、周りにいた生徒の視線を感じた。何度かこの視線を感じることはあったけどなれることなんてない。
むしろ視線を感じるほど恐怖を感じた。
「ねぇ、あの子なんなの?もしかして冷酷プリンス様の彼女?」
「えー、まさかー!あんな地味子、絶対パシリとかだって。あの冷酷プリンス様が彼女とか今まで聞いたことないよ?」
ヒソヒソと話す声が聞こえる。
その言葉が胸の奥に深く深く突き刺さった。私、そんなふうに見られてたんだ。
なんだか梓くんに申し訳ない……。
そう思って私は梓くんから距離を少しとった。
「……おい、お前ら。ごちゃごちゃうるせーぞ」
「あ、梓くん?」
1歩、梓くんから離れると突然怖い声でそう言った。
びっくりした私は思わず立ち止まる。
「優星はパシリなんかじゃない。優星は俺の世界一可愛い彼女だ。いいか?よく覚えとけ」
「梓くん!?」