無自覚なまま、愛を蓄えて。

突然何を言い出すの!?


梓くんの言葉に驚く私。だけどそれ以上に廊下は騒がしくなってしまった。



「いやー!なんでこんな子が彼女なのよ!」



そんな声も聞こえた。


だけど、私はそれよりも梓くんのことに驚いていて周りの反応は聞こえていなかった。



「……行くぞ、優星」


「へ?あ、うん」



立ち尽くしている私の腕をつかみ引っ張る梓くん。


だけどその行動がなんだかよそよそしい。


そのことを不思議に思ってそーっと梓くんの顔を覗いた。


……真っ赤。


顔を覗いてそう思った。あの梓くんが顔を真っ赤に染めていた。その事に気づいた私もつられるようにして赤くなる。


なんだか恥ずかしくて。


お互い無言のまま、廊下を歩いていた。



「……ねぇ、梓くん」


「なんだ?」


「ここ、昇降口じゃないんだけど……なんでここに?」



昇降口に向かっていたはずの私たち。
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