無自覚なまま、愛を蓄えて。
エピローグ
暗闇に咲き誇った綺麗な華。
つぼみの頃から美しい輝きを放ち、誰かに見つけてもらおうと必死だった。
そのつぼみは愛を無自覚なまま、自分の心に蓄えた。
この華が綺麗に咲き誇るのを待ち続けたひとりの勇者は。
見事に美しい華を咲かせて見せた。
自分の愛で、言葉で。
何も飾らぬまま綺麗に咲き誇った華はとてもとても美しい。この華を枯らさないと誓った勇者は水の変わりにたくさんの愛を注いだ。
その勇者の愛はかれることはないだろう。
自分なりに愛を注いで、注がれて。
華たちはそうやって美しさを保つのだ。もっと、もっととお互い求めるようになり。
いつしか小さな小さなつぼみがこの世界に宿る。
そのつぼみにもたくさんの愛が注がれ、そしてまた別のつぼみから愛を注いで注がれる。
その連鎖が今、この世界で起こっている。
この小さな幸せが、華を美しく咲かせる、唯一の方法なのだ……。