無自覚なまま、愛を蓄えて。
リュックを背負い、真桜を見てから教室を出ようとした。だけど真桜にリュックの紐を引っ張られ、その場で立ち止まる。
「そ、そんなこと言われても困るよ……。それに、私バイト入ってるし、休めるかどうか……」
「一生のお願い!優星、かわいいし、相手も盛り上がると思うんだよね。バイトなんとか調整してもらうとかできない?この機会を逃したら後悔すると思うの!どうか参加だけでもいいからお願いします!」
拝まれるようにして懇願されてしまった。
合コンなんて私が行っても絶対面白くないのに。でも……。滅多にお願い事をしない真桜がこんなに必死になっているのを初めて見て心が揺らいだ。
バイトのシフトは調整出来なくはないし……。まぁ、行くだけなら……。
「わ、かった。行くだけでいいなら……」
「本当に!?ありがとう!優星、大好き!」
真桜の言葉に頷くとぱぁ、と顔を輝かせて私を抱きしめてくる。