無自覚なまま、愛を蓄えて。
その瞬間に、暗がりでもわかるほどサーッと血の気が引いていた。
なんだ?どうしたんだ?
「午後、6時45分……ヤバい!早く帰らないと“あの人”に許してもらえないよ!」
「あの人?……って、お前の父親か?」
震える声、震えている体。
その姿が見ていて痛々しかった。おそらく父親との門限のことを思い出したのだろう。散々な目にあってる優星なら、あの父親がどんなことをするのかわかっているのかもしれない。
「私、門限が7時なの!バイトある日は8時だけど……7時越えたら何をされるかっ……」
必死に俺に訴える優星。
最後は涙声になっていて聞いていられないほどだった。ここまで優星を怯えさせているなんて知らなかった。
「とりあえず、走るぞ。これからの事は後で考えよう。俺が優星の親父に上手く説明するから。……ほら」
このままだと優星が危ないということは理解した。だから俺は、一緒に帰ろうと手を差し伸べた。