無自覚なまま、愛を蓄えて。

優星の姿を見て、首を傾げているとドアを開けようとする。


……が。



「……あ、れ……あかない……」



ガチャン、という音を立てただけでドアは一向に開かない。


何度も何度もドアを開けようとするが少し開いただけでまた戻る。



「ど、どうしよう。締め出された……」


「はぁ？おい、貸してみろ」



優星の手が取っ手から離れると、俺も開けようと試みる。今にも泣き出しそうな優星はその場から動けないようで呆然としていた。



「くそっ！なんで開かねぇんだ！」



何度やっても開かないドアにイライラが積もり、ドンッ！と拳をぶつける。よくよく見てみるとドアの奥にはチェーンが見える。


どうやら中から施錠されているらしく、完全に締め出されたらしい。



「あ、梓くん……そんなことしたら、ドア壊れちゃう……」



か弱い優星の声ではっと我に返る。


しまった。優星いるのにイラついてしまった。