無自覚なまま、愛を蓄えて。
酔っ払いを散々相手にしてきたこともあるので声を聞いただけで泥酔しているかどうかまでわかるようになった。
「も、申し訳、ありません……。と、友達の誘いで断れなくて……。門限前には帰ろうとしたんですが……」
完全に萎縮している優星。
このやり取りを黙って見ているだけの俺。よく分からないただならぬ空気がまとわりついていた。
「友達だぁ?お前、遊んでる暇があるなら俺のメシ作れっつってんだろぉよ!何が誘いだ!この俺をバカにしてそんなに楽しいか!お前のせいでこんなことになってんだ!とっとと出てけ!このバカ娘!」
「そ、それは待ってください……!」
そこまで聞いて俺の中で何かがプツンと切れた。話を聞いていればこの親父、自分のことしか考えてねぇな。
必死で父親をなだめようとしている優星。
もう、我慢ならなかった。