無自覚なまま、愛を蓄えて。
「反省するまで戻ってくんな!とっとと目の前から消えろ!」
ーバンッ!
俺は何も言ってないが一方的にドアを閉められ、自分から優星の親父は引っ込んでいった。
優星はまだ泣き止まない。ただひたすらごめんねを繰り返した。その姿を見てズキっと胸が痛む。
優星は、こんな親父のところで育ったのか。今まで気づいてやれなかった。守ることができなかった。
「優星、大丈夫だから。とりあえず、なきやめ。な?」
「うっ、だ、だって私が悪いのにっ。梓くんが、殴られて……」
頭を撫でて落ち着かせようとするがとうとう声をあげて泣き出してしまった。
「大丈夫。俺、ケンカは慣れてるからこんなんかすり傷にも入らねぇよ」
「……梓くんの、バカァ……」
「……わりぃ」
例えが悪かったのか、何故か優星に怒られた。だけど涙は止まったみたいで、少し落ち着いていた。