無自覚なまま、愛を蓄えて。
お父さんに殴られてしまった腕のあざが痛々しい。本人は隠してるつもりだろうけど、袖から見えるのでバレバレだ。
後でちゃんと手当しないと。
梓くんには守ってもらってばっかりで申し訳無いな……。
「いや、あの親父さんの言うことも一理あると思ったからな。突然他人の俺が余計なこと言っちまったせいで優星が……」
「そんなっ。普段からあんなだから気にしないで。私は慣れっこだから」
あまりにも申し訳なさそうに謝ってくるので慌ててそう言った。だけどあとから考えて、しまった、と思った。
多分、梓くんは私の家が離婚していることを知らないはず。梓くんだけには知られたくなかったので自分で墓穴掘るようなことをしてしまった。
「……無理して笑うなよ」
「え?」
あはは、と笑って誤魔化そうとするが梓くんがなにか呟いた。……気がするけどあまりよく聞こえなかった。