無自覚なまま、愛を蓄えて。
「だいたいこんなもんだろ。そこのクッションの上に座っていいぞ。飲み物取ってくるからゆっくりしてろ」
「ありがとう」
梓くんに言われて素直に頷き、クッションの上に腰を下ろす。それを見届けた梓くんは飲み物をとるために部屋から出ていった。
……途端に静かになるこの空間。
私の心臓と呼吸の音しか聞こえなくなって少し寂しく感じた。
そういえばあれから真桜達はどうなったかな。あのまま飛び出てきちゃったけど……。友達のことを思い出して急に心配になり、ポケットに閉まっていたスマホを取り出す。
「わぁ……着歴やば……」
スマホの画面を開くとそこには着信とメッセージの嵐だった。何十件も溜まっていて順に追ってみる。
『優星、大丈夫?』
『無事かどうかだけ返信ください』
といった内容のメッセージがほとんど。だけどたまにお父さんの名前があってどこにいるんだ、とか帰ってくんなとかそういうものばかり。