無自覚なまま、愛を蓄えて。

上手く誤魔化す自信がなかったから素直に言っちゃったけど、やっぱ行かなきゃ良かったなって後悔した。



「まさか梓くんと知り合いの人だとは思わなくて。……幼なじみだって話しちゃった。そしたら急に私の事追いかけてきて……。気づいたら、合コン抜け出してた」


「……そういうことか。全く……」


「ごめんなさい……」



早乙女くんのことを思い出してぶるっと身震いする。何故か梓くんの幼なじみだと知って私を追いかけてきた早乙女くん。


彼の目的はいったいなんなのかよく分からない。思い出しただけでも背筋が凍る。



「まぁあいつの事はおいおい話す。で、2つ目の質問に答えて」


「わかった。……お父さんは、昔……お母さんと離婚して。そっからお酒に溺れて、ずっと仕事もしないままあんな感じなの」



早乙女くんのことを答えてくれるかなと思って待っていたけど、お父さんのことを聞かれ、曖昧になってしまった。
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