無自覚なまま、愛を蓄えて。
その事に不思議に思ったけどお父さんのことを話しているうちに、忘れていく。
お父さんのことを話しながら、ズキズキと胸が痛くなる。昔は優しかったお父さん。
だけどお母さんと離婚してからはすっかりと変わってしまった。ずっとお酒を飲んでいて私にバイトを強要させて。ほんとはもっと勉強がしたかったけどそれは叶わなかった。
バイトの給料が少なければ暴言、暴力は当たり前で。おかげで体はアザだらけ。そのことを知られたくて夏でもいつも長袖。
真桜には日焼けを気にしてると思われてるけど全然そんなことは無い。
むしろもっとオシャレを楽しみたいとも思ってる。だけど……このことは誰にも相談出来ない。
そして、気づいたら高校1年生の冬になっていた。
「……そんなことがあって、あの喫茶店でバイトしてるんだけど。基本的に貯金は全くできてないの。お金は全部お父さんのお酒に消えちゃうし……」