無自覚なまま、愛を蓄えて。

久しぶりに梓くんに会えて嬉しいのにこんな重たい話しちゃって。


……迷惑極まりないよね。あはは……。



「……優星。今まで気づけなくてごめんな。無理して笑うな」


「梓、くん?」



一通り話終えると梓くんがいきなり私を抱きしめる。大きくて優しい梓くんの腕の中。


一瞬の出来事すぎて目をぱちくりさせる。



「俺が、お前から離れなければ……もう少し楽にさせてやれたのに。ごめん」


「そんなっ。梓くんが謝る必要なんてないよ。それに、離れたのは私の方だし……」



幼い頃、お父さんのことを隠そうと離れたのは私だった。あとはこの梓くんへの気持ちに気づいてしまい、どう接したらいいのか分からなくて。


自分から、離れることを決めたのに。
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