無自覚なまま、愛を蓄えて。
口から手を離し、私の髪をすくい上げるとそこにキスを落とす。
ちゅ、というリップ音が部屋に響いた瞬間魔法がかかったかのように息をするのを忘れた。
「あ、あずさ……」
「これからはお前を側で守ることを誓うよ。これまでの事、全部忘れるくらい上書きしてやるからな」
名前を呼ぼうとしたけど、それすらも遮られて何も言えなくなった。
変わりに、私の反応を見て、ニヤリと笑う梓くんを見つめる。
梓くんって、こんな感じだっけ……?
こんな王子様キャラ……初めて見たんだけど。
どうやら私は、王子様のイケナイ蓋を開けてしまったらしい……です。