無自覚なまま、愛を蓄えて。

あれ?梓くんも徒歩通学だよね?


なのになんで送る?



「ほら、行くぞ」


「うん……」



結局、梓くんの準備が終わるまで家で待っていた私。ちなみに梓くんの両親はもう仕事に出かけたらしい。


挨拶もろくに出来ずに学校へ出発することになった。



「これ、かぶれ」


「ん?ヘルメット?」



玄関を出た時、梓くんから渡されたのは小さめのヘルメット。かぶれ、としか言われずモタモタしていると目の前には真っ黒で大きくて、かっこいいバイクが。



「わぁ!めっちゃかっこいいね!」


「だろ?これで送ってやるからさっさとヘルメット被れよ」


「……えぇ!!」



事の理解をした私は大きな声を出してしまった。いや、バイクが出てきた時点で疑問に持たないといけなかった……と、思う。


まさかのバイク通学の提案に戸惑うばかり。


ていうか、梓くん、バイクの免許持ってたんだ……。
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