無自覚なまま、愛を蓄えて。

……確かに、ヤバい合コンだなと思った。


だけど行くと決めたのは私。それに、梓くんに助けてもらえて無事だったから大丈夫。連絡先も交換してないし、そのまま関わりなんて打ちきれてるんだから。



「大丈夫。みんな無事だったんだから。それに、私は……」


「ん?」



何故か昨日のことを不意に思い出して1人、顔を熱くさせる。別に梓くんのことを話してもいいのだけれど、恥ずかしくて言えないよ……!



「何何?顔真っ赤だけどなんかあったの?」



そのことに気づいた真桜が身を乗り出して興味津々に聞いてくる。


どう答えようか口を開いたり閉じたりしていると……



「こら、そこ!真面目に聞かんか!」



と、先生から叱責を受けてしまった。


ちぇ、と真桜は渋々前を向き、それからは昨日の話をしなくなった。私は私で話の続きをしなくて済んで、ほっとする。


だけど頭の中は梓くんのことでいっぱいで。その後の授業は、頭の中に全然入ってこなかった。
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