無自覚なまま、愛を蓄えて。

そんな会話がちらほら聞こえた。


私はまさか……と嫌な予感を抱きつつ、顔をそっとあげる。



「優星、いる?」



さっきまで悲鳴が凄かったのに、私の名前が呼ばれた瞬間シン、と静まり返る教室。


そして、私の、大好きな声が耳をくすぐった。



「あ、梓くん!な、なんでここにいるの!?」


「あー、どうせだから迎えに行こうと思って。……こいつら、抑えられなかった」



梓くんは教室の中に入ってくる。


ドキンドキンと緊張が走る。それと同時にみんなの視線が痛いくらいに感じた。


真桜に至っては、ポカーンと梓くんを見つめるだけ。状況を上手く呑み込めていないよう。



「お、久しぶりだね!梓の幼なじみちゃん♡」


「へー。この子が姫候補。……梓、もっと可愛い子を選ぶと思った……いでっ」


「うるせーよ!黙ってろ!」



ぼーっと梓くんを見ていると後ろからひょっこりとふたりが顔を出した。
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