無自覚なまま、愛を蓄えて。

……なんなんだろう、この微妙な空気は……。早く帰りたい……。



「みんな集まってるのか?」


「ああ。総長様待ちだよ」



なんとなく後ろを歩いてついて行ってると、梓くんとメガネの人が話している。


……総長様……。


やっぱり梓くんはまだグループ抜け出してないんだ。しかも総長まで上り詰めてるし。どれだけ喧嘩強いんだろ。


なんて、現実逃避みたいなことを考える。



「……屋上、ってここ?」


「そうだよ。ここは、総長様の城だ。一般生徒は普段立ち入ることが出来ないけど、俺たちは別。君もよく知ってるんだろ?梓くん……この学校には“ROSE”の暴走族があること」



ひとつの扉の前まで来たところで、ふと尋ねてみる。


そうしたら、何故か茶髪の人が得意気に答えた。まるで何もかもお見通しみたいなそんな目で私を見てくる。


確かに、この学校には星稜高校みたいに暴走族は存在している。そして、幼なじみの梓くんも所属していることも。
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