無自覚なまま、愛を蓄えて。
姫に愛を【梓side】
「……さて。ようやくみんな揃ったことだし、自己紹介でもするか」
久しぶりにみんながひとつのところに集まったこの空間。一人一人の顔を見れて若干嬉しくなる。
それに、今回はそれだけじゃない。
今まで呼びたかったけど呼べなかった人もいる。
「……優星、お前なんでそんな隅っこにいるんだよ」
「……だ、だって……」
あまりの迫力についていけなくなったのか、いつの間にか優星は屋上の隅に座り込んでいた。
まるでこの空間に怯えるようにこちらを伺っていた。
「なぁ。本当にアイツがお前の幼なじみ?写真みたけど、まるで別人だな」
「…………」
優星を見ていると理人がそっと耳打ちする。俺に幼なじみがいることに未だ信じきれていないのか、まだ疑っている。
「おーい。こっちおいでよ。なんでそんなとこにいんのさ」
「ひっ。わ、私のことはお構いなく!」