無自覚なまま、愛を蓄えて。
仲間が優星にちょっかいを出すけどそれすらも嫌がる優星。まるで怯えきった子猫のよう。
……無理もないけどな。
普通なら、こんなに異性と関わることなんてない優星は、緊張しているのだろう。
合コンに行ったって言ってたけど、それも多分男女比1体1だろうし。
……つーか、なんで合コンなんかに行ったのかまだ聞いてねぇわ。無性に腹たってきた。
「おい、優星。そこにいたら話が出来ねぇ。こっち来いって」
「いやぁぁ!」
「ったく、大丈夫だから!」
なんとか手をひこうとするがそれもダメ。
ならばと半ば強引に立ち上がらせ、反射で抱きしめる。
「わぁーお!梓くん、やるぅ!」
「うるせー。見せもんじゃねぇよ!」
何も考えずに行動してしまった。
その事に気づいたのは紫苑(しおん)にからかわれて、我に返ったとき。
しまった、と思い優星から少し距離をとる。