無自覚なまま、愛を蓄えて。

だけど優星の顔を見てまんざらでもない気持ちになった。だって、優星の顔が……。



「お前、顔真っ赤」


「……う、うるさい!」



真っ赤に染まっていた。その姿が可愛くて愛おしくて。


自然とニヤける。



「梓くんのバカ!さっさと話するならしちゃって!私、これからバイトなの!」


「あ?」



ニヤけを押さえていると優星は怒って俺から離れていった。


そして、振り向くと誤魔化すように叫ぶ。


だけど、その内容に一瞬疑問を持った。



「お前、まだあの喫茶店でバイトしてんのか?」


「……そうだよ。シフトもう貰ってるし、辞めるわけないじゃん。それに、お金作らないとお父さんにまた怒られる……」



そこまで言ってはっと我に返る優星。



「あ、別に暇だからいいんだけどね」



あはは、と苦し紛れに笑う。


お金作らないとあの親父に怒られる?


なんだよ、そのシステムは。
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