無自覚なまま、愛を蓄えて。

俺はバイクで送る、と言ったが今朝のことをトラウマに思ってるみたいで結局徒歩で向かうことに。


横を歩く優星はとても不安そうに顔を俯かせる。


……それもそうだ。


だって優星が関わった“早乙女”というやつは、ここらで有名な最低最恐の暴走族、JOKER(ジョーカー)の総長だからだ。


普段は何故か仮面をつけて活動してる彼ら。


窃盗、暴力は当たり前、更にはクスリにも手を染めてるらしく、何度もサツに捕まりかけては逃げてを繰り返している。


女、子供にも容赦なく常に“全国No.1”の肩書きを気にするヤツら。目をつけられれば終わり。そんな最低な奴らだ。


それに加え、俺の活動してる暴走族は比較的善良なグループ。喧嘩は売られたらやり返す、街の安全を守る、そのことを主に守ってる。


これは前総長との約束でもある。


争いごとがあまり好まなかった前総長は“全国No.2”まで上り詰めたあと喧嘩をしなくなった。
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