無自覚なまま、愛を蓄えて。
その変わり、JOKERを潰せ、という言葉を残し引退した。それが今になって、俺に引き継がれた。
そのことを知っているのか知らないのかは分からないが、JOKERは自分たちの後ろに名がある俺たちを毛嫌いしていた。
総長の俺が目につき、そして優星のことが知られてしまった。俺に1番近い人に危害が及ぶ、そのリスクを優星は背負ってしまったのだ。
名前だけ知られているJOKERの総長。
顔は常に見えないため、知っているのは優星だけ。だから、優星は貴重な情報源でもあり、必ず守らなくてはいけない存在なのだ。
「大丈夫だ。親父と母さんは納得してるし、それに、お前まだ家帰れないだろ?」
「そ、そうだけど……」
「とりあえず、あの親父の出かけるタイミングを見計らって必要最低限な荷物だけまとめろ。教科書とかは俺のを貸す。んで、学校にいる時も俺から片時も離れるな」
俺の家に暮らすことに遠慮してる優星。
こればかりはしょうがないだろう。