無自覚なまま、愛を蓄えて。

甘い上書き



梓くんの家に同居することになってしばらくたった。


あの日から梓くんの仲間と関わり合いを持つようになり、毎日が楽しい。お父さんとも離れることができて、心は余裕だった。


正直、梓くんの家に暮らすのに少し抵抗があったけどご両親も歓迎してくれたし、なんだかんだで安全に暮らしていた。


おかげでからだからアザが次々と消えていき、綺麗になるばかり。


……ただ、背中に残った大きなアザだけが変わらずだった。ここは多分一生消えないだろうな。


そんなふうに思わせるくらい、大きなアザ。


このアザを見る度に嫌な思いが引き出されていた。



「ところで、今日はプリンス様とお昼じゃないの?」



ぼーっと考え事をしていたら、私のテーブルに椅子を近づけ、真桜が話しかけてきた。


あの日、梓くんがクラスに来た日あの後教室は大変だったらしい。女子は次々に倒れ、男子も梓くんに見とれていたんだとか。


真桜も真桜で興奮しっぱなしだったらしい。


……梓くん、本当に人間?


王子様扱いパワーアップしてない?
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