無自覚なまま、愛を蓄えて。
……その通り、だと思う。
だって、早乙女くんは最恐の暴走族の総長様。基本的に顔を出さないらしいし、梓くんですら顔を見たことないらしい。
真桜が連絡先を交換してないと聞いてほっとした。
「そうなんだ……なんかごめんね。楽しみにしていた合コンなのに……」
「別にいいわよ〜。イケメンだったけど性格は大して良くなかったから。それに、優星のこと強引に誘っちゃったし。今度、また機会があったら頑張る!」
切り替えの速さに安心した。
私のせいでなんか合コン台無しにしちゃったから……。
「本当にごめんね……」
「いいって、いいって。それより、プリンス様の話が聞きたい!なんかエピソードないの?」
梓くんから話題を逸らそうとしたのに、なんだかまた話題が戻っちゃった。
真桜があまりにもキラキラした表情で私を見るので思わずうっ、と後を引く。
「エ、エピソードって言われても……」