私の旦那様には3つの顔がありました!?
Prologue
「お嬢様……あ、もう起きられてましたか。」
「ええ、まあ。今日から2学期だしね。」
「朝食はどちらでとられますか。」
「そうね。一応誕生日だし、今日はみんなと食べるわ。」
「かしこまりました。そう伝えて参ります。」
わたしに敬語を使っているのは、付き人である橋乃下 桔梗。
たまたま桔梗が出る武術大会を見ていたお父様にかわれて、わたし達が10歳の頃から仕えてくれている。
8年間ずっと一緒に暮らしているけれど、この屋敷の中では敬語を使うのが暗黙のルール。
なぜならわたしは、坂藤財閥の令嬢、坂藤 灯だから。
財閥は、この国にたったの2つだけ。
もう1つは銀葉財閥と言って、この2つの財閥はずっと昔から国を支えている最上級のお金持ちなのだ。
そうして、今日9月1日は私の18歳の誕生日。
特に変わったことはないけれど、唯一あるとすれば結婚できる年になったということ。
明日、9月2日は会ったことも正体も知らない婚約者の誕生日で、ちょうど籍を入れる日となっている。
普通の高校3年生なら多分受け入れられないけれど、小さい頃からそういう教育をされてきたから今さら何も思わない。