私の旦那様には3つの顔がありました!?

彼のもう2つの姿を見てしまいました









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 今日9月2日は、わたしと今日が誕生日である婚約者が籍を入れる日。
 だけど、その日婚約者と待ち合わせをしているホテルに来たのはわたしが6年もの間片思いをしていた相手。
 銀葉財閥御曹司、銀葉湊だった。



「そうだった、わたくしとした事が娘に相手のことを一切伝えていなくて。大変申し訳ない。」



 と、テーブルに5人分の紅茶が届いた後、驚いているわたしを見たお父様が言った。



「いえいえ。わたくし共も相手が灯さんだと伝えたのは中学に上がる時に湊が聞いてきてからでしたので。」



 そうだったんだ……。
 銀葉湊は、わたしが婚約者だと知っていたのね。しかも、わたしが一目惚れした時にはすでに。
 けれど、不用意に関わってこようともしなかったわけだし、彼もこの結婚は前向きではないのね。



「婦人会でも湊くんは有名人ですのよ。」



 お母様が銀葉財閥総帥にそう言った。



「これからは、奥様の息子でもあるのですから。可愛がってくださいな。」



 総帥というから難しい人をイメージする人が多いけれど、銀葉湊のお父様は、優しい温和な人。
 わたしのお父様とは真逆で、家族をとても大切にしてそうなお人柄。



「ええ、もちろんですわ。そういえば今日奥様は…?」
「妻は長女と長女の娘と一緒に旅行に行っていまして…。大変申し訳ない。」
「いえいえ、それでこそ銀葉財閥の奥様ですわね。」
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