私の旦那様には3つの顔がありました!?


 今更お父様には、わたしを大切な娘として愛してくれる…だとかそういう期待なんかしていない。



「こちらこそ、湊をよろしくお願い致します。……では、わたしたちはお暇しましょうか。」
「そうですな。」



 そう言ってお父様達は、エスカレーターに乗りホテルを後にした。



「………あなたがわたしの結婚相手だったのね。」



 今2人きりになって何を話したらいいのかわからない……!
 銀葉湊が結婚相手だなんてまだ受け入れられてないのに。
 来週から一緒に暮らすだなんてもっと…。

 それに知っていたならどうして何も言ってくれなかったのかしら!



「…あのさぁ、なんで知ってたのに何も言わなかったの?って思ってるでしょ、灯」
「どうして…!……そ、そんなの思ってないわよ。」
「灯ってさ思ってる事顔に全部出てるの、自分で気づいてないわけね」



 さっきの王子様銀葉湊でも、学校でのクールな銀葉湊でもない。
 化けの皮を全て剥がしたような思ったことをオブラートに包むことも、隠すこともしない少しだけ覇気のなくなった銀葉湊が姿を現した。

 なんだか、だらーんっとしているような感じに見える…。
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