私の旦那様には3つの顔がありました!?
彼との新生活の幕開け
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色々あった9月2日から2週間弱が経ち、引っ越しの日を迎えた。
あれから、湊とは学校ですれ違うこともあったけれど、わかりやすく避け続けてしまっていた。
だから湊と話すのも顔をしっかり合わせるのもあの顔合わせ以来。
新居は、湊の実家である銀葉邸というわけではなく。
新築86階建てマンションの最上階。
セキュリティはもちろん、広さも十分だという物件。
一応わたしたち2人は世間一般的に見ると“ボンボン”なのでハウスキーパーさんが週に何回か通ってくれる。
荷物はもう運ばれていて、荷解きもされいるみたいだから後はもうわたしが目の前にある新居のドアを開けて中に入るだけ。
なのにそれができないでいるわたし……。
わたしが中に入るのをためらっているといきなりガチャッと重たそうな黒のドアが開いた。
目の前にはもちろん、湊。
奥に広がっているのは黒を基調としたいい匂いのするおしゃれな玄関。
ルームフレグランスが置いてあるから、このいい匂いはそこから広がっているのだろう。
「久しぶりだね、灯。」
「べ、別に久しぶりじゃないでしょう……。一昨日も学校で会ったわけだし。」
「でも、話してないし。目すら合わなかったからね?」
「そ、それはごめんなさい……。」
湊もわたしが避けていたことに気づいていたみたい。
心なしかしゅんとした湊の顔を見ると悪いことをした気分になった。