私の旦那様には3つの顔がありました!?
きっと若くはないだろうし、変なフェチとか持ってなかったらそれだけでもまだマシ。
小さい頃は王子様だとか運命の人だとか思っていたけれど、歳をとるにつれどんどん期待は薄れていき、今はここまできてしまった。
「お嬢様。」
わたしの部屋の大きいドアを桔梗がコンコンとノックする音が聞こえた。
「入って。顔を洗ってくるから制服を出しといてくれる?」
「かしこまりました。」
わたしが通っている銀杏学園高等部は普段校則がないけれど、始業式など講堂に立ち入るときにだけ指定の制服を着るのが唯一の校則。
そして超超超お金持ち学校で、中等部から大学までのエスカレーター式。
わたしと桔梗は中等部から通っている。
さらに20人程のクラスがA〜Tまで20クラスもあるそこそこのマンモス校だったりもする。
クラス編成は学園に寄付金順になっていて、わたしはA組。桔梗は、従者だからA組に入ることができた。
桔梗は、お金持ちではないから学年に1人しか受からない推薦入学を武術によって獲得したやり手だ。
うちで出すと言ったのだけれど、桔梗がそれは嫌だといって聞かなかった。
「お嬢様、お履物はいかがなさいますか?」
「制服だし、目立つのはよくないからヒールの低いものにしてちょうだい。」
「かしこまりました。」