私の旦那様には3つの顔がありました!?




「とれた?」
「え、ええ。」
「じゃ。」


 そう言って次こそは本当にキスをしてくる湊。

 “ちゅっ”と触れるだけのキス。
 昨日は、あんなにたくさんしてくれたから少しだけ物足りないけど。



「何?その顔。灯はまだしたいんだ。」
「そ、そんなわけないじゃない…!まだ朝なのよ!」
「まだ朝だから、ね?…かわい。」



 昨日から可愛いだのなんだの言っているけれど、湊は別にわたしのことを好きじゃないはずなのに。
 そういう言葉は、いくら好きな人だとはいえ、好きになってから言ってくれた方が嬉しい…のではないかしら。



「か、可愛くないわよ。」
「ええ?可愛いよ?灯は。」
「み、湊は好きじゃない女の子にも可愛いとか簡単に言えちゃうのね。」



 こ、こんな挑発的な口調で言うつもりは…!

 モヤモヤした気持ちがつい爆発してしまった、



「好きじゃない、ね。勝手に決めつけて灯は俺の何をわかってるの?」
「な、何もわからないわよ…まだ…。」
「…なら、決めつけはよくないんじゃない。」



 そういって湊は自分の部屋に着替えをしに行ってしまった。
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