私の旦那様には3つの顔がありました!?
「け、今朝のことを謝りに来たの。」
「わざわざ生徒会室じゃなくてもいいと思うが。それに僕が謝られるようなことをされた覚えはない。」
「と、とにかく早く謝りたかったの…!好きな人と険悪なまま日常を送るのはとっても辛いのよ…。」
わたしの脳内は、授業中や昼食の時間帯10割全てが湊に嫌われたくないで埋め尽くされていたのだ。
おかげで今日の授業内容も昼食のメニューも全く覚えていない始末。
「僕が灯のことを嫌いになるわけがないだろう。」
さっきまでずっと動かしていた手元を止めて、立ち上がり入り口に立っているわたしの元へと近づいてくる湊。
「そんなのわからないじゃない!わたしのことが好きでもないのに、あんな言い方をされたら嫌いになってしまうのが普通よ…。」
わたしがこんなままだと湊が離婚を言い出すのも時間の問題かもしれないわね…。
ただでさえ湊は望まない結婚だったはずなのにこんな嫁じゃ嫌にならないわけがないもの。
「誰が好きじゃないと言った?」
「だって、湊がわたしのことを好きになるきっかけも何もないじゃない…?」
「勝手に決めつけるな。」
「そ、それに百歩譲ってわたしを好きだったとしてもいったいこんな女のどこを好きになると言うのよ…。」