私の旦那様には3つの顔がありました!?
自分でこんなことを、しかもそれを好きな人の前で言うなんて何だか悲しくなってきてしまう。
気がつけばわたしの視界はぼやけていて、湊の顔が見れず俯いていた。
なんでわたしが泣きそうになっているのよ…!
泣きたいのは湊の方だと言うのに。
自分への情けない気持ちと、湊への申し訳ない気持ちが相まって、ついに目に溜まっていた涙が地面にこぼれ落ちてしまった。
「泣いているのか…?」
「そ、そんなわけないじゃない…。」
「隠すな。隠されると俺もどうしたらいいのかわからなくなる。」
湊の一人称が“僕”から“俺”に変わった。
「ど、どうして好きじゃない人にもそんなに優しくできるの…?」
涙でぐちゃぐちゃになった顔をわざわざあげてまで湊にそう聞いてしまうわたし。
「まだ言うんだ、それ。とりあえず座って?涙拭こう。」
そうして湊に誘導されるがまま生徒会室にある3人掛けソファに座らされる。
使い捨てのできるティッシュではなくてわざわざ湊のハンカチでわたしの顔に流れる涙を拭いてくれる。
「どうして湊はわたしにここまでしてくれるの…?」
止まらない涙をながしたまま湊にまた聞くわたし。
もうまともに頭が働いていないようだ。