腹黒御曹司の一途な求婚
「ごめんなさい、和泉さん。付き合ってもらっちゃって。私、ちょっと休憩したくて」
「挨拶回りは一通り終えてるから大丈夫だよ。人混みって疲れるよね」
朗らかに微笑む和泉さんを見て、私の気持ちが軽くなる。
申し訳ない……と思いつつも、やっぱり顔も知らない秘書の方より和泉さんの方が気が楽なので。
ビュッフェスペースで軽食をいくつか見繕い、会場の隅に設置されている椅子へと向かう。
「そういえば無事付き合うことになったんだってね。おめでとう。蒼士から聞いたよ」
「ありがとうございます。その節は色々とお世話になりました」
「いえいえ。俺は何もしてないから。それにしても付き合ってすぐにもう婚約とは……。あいつ早すぎだろ。大丈夫?丸め込まれたりしてない?」
悪戯っぽく口角を上げている和泉さんの冗談に、私は笑って否定した。
確かにこの短期間で蒼士との関係は目まぐるしく変わったけれど、全部私も望んだことだ。
ちゃんと自分の意志で、彼の隣にいる。
「いいえ。私もその、蒼士のことが好きなので……」
「そっか。それはよかった。仲が良さそうで何より」
自分で言っておきながら、気恥ずかしいことこの上ない。
会場の熱気も相まって紅潮する頬を手で扇ぐと、揶揄いまじりの笑い声が降ってくる。
そんな時だった。
「挨拶回りは一通り終えてるから大丈夫だよ。人混みって疲れるよね」
朗らかに微笑む和泉さんを見て、私の気持ちが軽くなる。
申し訳ない……と思いつつも、やっぱり顔も知らない秘書の方より和泉さんの方が気が楽なので。
ビュッフェスペースで軽食をいくつか見繕い、会場の隅に設置されている椅子へと向かう。
「そういえば無事付き合うことになったんだってね。おめでとう。蒼士から聞いたよ」
「ありがとうございます。その節は色々とお世話になりました」
「いえいえ。俺は何もしてないから。それにしても付き合ってすぐにもう婚約とは……。あいつ早すぎだろ。大丈夫?丸め込まれたりしてない?」
悪戯っぽく口角を上げている和泉さんの冗談に、私は笑って否定した。
確かにこの短期間で蒼士との関係は目まぐるしく変わったけれど、全部私も望んだことだ。
ちゃんと自分の意志で、彼の隣にいる。
「いいえ。私もその、蒼士のことが好きなので……」
「そっか。それはよかった。仲が良さそうで何より」
自分で言っておきながら、気恥ずかしいことこの上ない。
会場の熱気も相まって紅潮する頬を手で扇ぐと、揶揄いまじりの笑い声が降ってくる。
そんな時だった。